高校生の頃の話なのですが、夜明け前の時間帯に、飯場かどこかへ送り込まれそうになった経験があります。
もっとも、それは「いま思えば多分そうだったのだろう」と想像するだけで、本当にそうだったかどうかは不明ですし、その時は「親切なおっちゃんがいるものだな」と思っただけですが。
それは、冬だったと思うのですが、寒い夜明けの上野駅でのことでした。
その時自分は、旅行しようとしていて、夜行列車で上京し、大きなバッグを抱えてまだ暗い五時前の東京を右も左もよくわからない状態で、ひとりでウロウロしていたのですが、上野駅で、二人組のゴツいおっさんに声をかけられました。
「おはよう兄ちゃん、どこから来たの? 腹減ってねえか? 寝るところ、あるんか?」
みたいな感じだったと思うのですが、見かけは厳ついおっさんでも、口調はフレンドリーで、声音は優しかった記憶があります。
その時自分は、「家出少年か何かと勘違いされてんのかな?」と思いながらも、しかし夜明け前の時間帯で周りには他に誰もいないし、少し警戒しながら「いや、ぜんぜん大丈夫っスよ、旅行中なんです。でも、ちょっと腹は減ってます」みたいに答えたのですが、そうしたら、そのおっさん達は、「だったら、駅を出てその先へ行くと……」みたいに早朝から営業しているドーナツ店の場所を教えてくれて、去っていきました。
しかし、今になってから考えてみると、その時は「見かけによらず案外優しい人だったな」なんて呑気に思いましたが、もしもあの時「喰うもんも寝るところもねえよ」みたいに答えたら、もしかしたら、「それは大変だな、だったら世話してやるよ」みたいな展開になり、そのままわけのわからない飯場かアンダーグラウンドな店かどこかへ斡旋されていたかもな、と、チラリと考えたりします。
へたしたら、直系の事務所で使いっ走りとか?
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