March 8, 2025

ひたすら読む

 今年の初め頃からつい最近まで、約二か月ちょっとの間、時間があるときはひたすら本を読んでいました。それはユヴァル・ノア・ハラリという著者による一連の作品群で、「サピエンス全史(上下)」「ホモ・デウス(上下)」「21 Lessons」の計五冊。

これらは全部買うと、単行本がそれぞれ一冊約二千円で計約一万円、文庫で揃えると、それぞれだいたい約千円になって計約五千円。そして三作とも、もう数年前の本で今更感があるため、図書館にも揃っていて、借りるならタダ。

それで、文庫になっているのに今更単行本を買うのは論外なので、文庫で五冊まとめて買うか、と思いました。安くはないけれど、まあ美容院の約一回分と考えれば許容範囲です。図書館で借りてもよかったのですが、何せどれも結構なボリュームのある本だし、最低でもそれぞれ上下はまとめて読みたいので、となると、貸出期限のある図書館は、期限内に読める自信がありませんでした。延長すれば四週間までは伸ばせるけれど、他の人の予約が入ると伸ばせなくて二週間で戻さなくてはならないし、そうなると、期限に追いかけられて読むのは嫌なので、図書館は諦めました。尤も図書館はもともと返しに行くのが面倒くさいのですが。

なので、消去法で、一冊というか各上下巻の二冊ずつ、ちまちまと文庫で買っていくか、と思いました。何せ全く読んだことのない類の本なので、一度に五冊買って、「サピエンス全史」の上巻で投げ出してしまったら、あまりにダメージがデカすぎます。しかし上下など分冊で出ているものは一冊ずつではなくまとめて買う派なので、とりあえず「サピエンス全史」を買おう、と決めました。挫折したら本棚の飾りにすればいいか、と開き直りました。何せ売れ筋の本なので、どこの書店でも揃っているため、好きな時に買えます。

もちろんこの著者に関しては、何かと出版時から話題になっていたので、本のタイトルは記憶にありましたし、どれも世界的ベストセラーであることも知ってはいましたが、なんとなく食指が動きませんでした。というのも、まず「歴史書」というカテゴリにちょっと苦手感があり、そのうえどれもボリュームが相当あって、しかも内容的に小難しそうで、怯みました。それなのに、出版されてから何年も経っているのにどうして今更読んでみようかという気になったかというと、NHKのドキュメンタリー番組で著者がインタビューを受けているのを観て、その内容に惹かれたからです。

で、人との雑談の中で「買おうかと思ってる」みたいな話をしていたら、なんと身近に全部単行本で持っている人がいて、「なんなら貸したろか」と言われました。「ええの? いつ返せるかわからんよ」とこたえたら、「もう読んだから、いつでもええ」と言うので、「じゃあ貸して」と頼み、後日、LLビーンのトートバッグを渡して、その中にハードカバーを五冊詰めた状態でまとめて貸してもらいました。

そうして読み始めたのだけれど、簡単な内容ではなかったものの文章が比較的平易なため、グイグイと引き込まれ、結局三作ともなんとか読破しました。難しいことを小難しく書くことはバカにでもできるけれど、難しいことを易しく書くことは利口な人にしかできず、この著者は後者でした。なので自分のようなものでも、それほど苦労せずに読めました。

ただ、どの本も何せ分量があるし、内容もスカスカの新書とは密度が違うので、読むのに時間がかかるし、安易に人には勧めづらいけれど、もし少しでも興味があって内容の難しさやボリュームに躊躇しているだけなら、読んで損はないと思う本だと自分は感じました。一言でざっくりと表すなら、どれもダイナミックな本でした。それでも、最近この著者の四作目が出ていると思うけれど、個人的には今回の三冊でけっこう脳みそが疲れたので、しばらくこういうヘヴィな本からは離れたい感じです。尤も、いずれは読みたいし、読むだろうし、本棚に並べるためにも、四作目が文庫に下りてきたら、あらためて全部文庫で揃えるかもしれません。

ちなみに、電子書籍も出ていますが、そちらは最初から買う気がありませんでした。いくら古臭い人間といわれようが、本は紙派です。例外は、有料だとアマゾンで数百円で買えるカフカや谷崎の全集というか何作かまとめたようなものやドストエフスキーの各作品(ほとんどタダのような値段で世界的名著を読めるのはありがたい)、無料では青空文庫で出ている本くらいのもので、それらはスマートフォンやタブレットに入れてはありますが、ほとんど読んでいません。青空文庫にあって、軽く読めるけれども、文章の上手さに引き込まれて、こんな自分のような電子が苦手な人でも読める著名な作家は寺田寅彦で、そのエッセイというか随筆は日本語の文章の最高レベルで、この人は、日本を代表する名文家だと思っています。

そして、青空文庫をスマートフォンやタブレットで読む場合は、iOSでもAndroidでもKindleのアプリが最適だと思っています。アプリは無料で、OSに縛られませんし、広告も付きません。

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