自分はどちらかというと「デジタル系は好きだけど中身は結構アナログ」というタイプの人間で、ガジェットなら、まだAppストアが無かった頃のiPod touchから今のiPadまで飛びついていますが、しかし今年がついに元年っぽい電子書籍に関しては、どうしてもイマイチ食指が動きません。
それでも食わず嫌いもどうかと思い、試しに、話題になった本を買ってみたのですが、いまだに最後まで読みきれておらず、というかもう諦めていて、放置モードです。
内容がどうこうではなく、単純に長過ぎるために読書という行為に飽きて、何より目が疲れてしまうのです。
1000枚程度の作品なら、本なら全然平気なので、文庫が出たらまた読んでみるかもしれないですが、本のように集中してディスプレイを何時間も見続けるのが、自分には無理です。
現状、もちろん人それぞれだとは思いますが、自分の感覚としては、電子書籍は雑誌やガイドブック、そして文芸系なら軽いエッセイ程度のものが適しているように思います。
自分は漫画を殆ど読まない人間なので、よくわからないのですが、漫画もニーズがありそうです。
というか単純に、小説とか文芸系で、ただ単にePub化するだけでなくいろいろなメディアと組み合わせて付加価値をつけるなら、個人的には「もういっそ読んでくれよ」と思ってしまうのです。
たとえば紙芝居みたいにイメージフォトとか作品をテーマにした絵などが次々に切り替わっていって、物語がナレーション的に流れていくとか、そういう進化した朗読本みたいな「映画のような本」とかならリッチコンテンツとしてかなり惹かれるのですが、あくまでも紙の本と同じように文章が表示されていて、たまに音楽が流れる程度とかだったら、個人的な感覚としてはまだ紙の本の方が読みやすいです。
あと、なぜ電子書籍がイマイチかというと、何年か先でも確実に読めるという保証はあるのか? と、どうしても思ってしまうからです。
たとえば自分は、昔の作家の三島とか谷崎とかその辺は文庫か、或はめちゃくちゃ古い、自分が生まれるより前に発行されたような古本で買って読んでいて、極端な例だと手許には昭和二十八年に角川書店から出た谷崎の本の初版とかがあって、紙の本ならそんなに古いものでも普通にいつでも読めるのですが、しかし、独自アプリ系電子書籍の場合、OSはこの先どんどんアップデートされていくと思いますし、デバイス自体も進化していくでしょうし、そういう時に、大袈裟な話、十年後、そのアプリ化されている電子書籍を読むことはできるのか、と疑問に感じるのです。
それに、将来的に自分がアップル製品に飽きる可能性もありますし、機械である以上故障もするでしょうし、修理ではなく買い替えとなった場合、金がなかったらすぐには買えないですし、そういう風に手許にデバイスがなくなった時、読む手段がなくなります。
そもそもアップルやグーグル、最近は日本のメーカーも手を出し始めているみたいですが、そういうメーカーが潰れないという保証などどこにもないですし、その点、紙の本なら、たとえ大手の版元が潰れても手許に「本」は残って、物理的にボロボロになって崩壊してしまわない限り、読めるわけですし。
要するに、たとえば古いカセットテープやVHSのビデオテープやレーザーディスクみたいに、モノ自体は残せていてもプレイヤーが絶滅してしまったらもう聴いたり視たり出来なくなるのと同じで、機械に依存するモノである以上、アナログの安心感には絶対勝てないと思うのです。
ましてデジタルガジェットの進化のスピードは家電とかとは比べ物にならないくらい速いですし。
そう考えると、「千円や二千円の本なんて2、3年ももてば充分減価償却できるのでは? だから、もしそうなったらまた買えばいいじゃん」といわれれば確かにそうかもしれないのですが、たとえ千円程度のこととはいえ、現状、昭和二十年代に出版されたものでさえ普通に読める「紙の本」が現役として存在し続けている以上、古臭い考え方なのかもしれないですが、どうしても比べて考えてしまいます。
単純に、もう何回となくハードディスクの突然死を経験している身としては、電子書籍は保管に関しても全く安心できないです。
それと、全くの新刊なら電子書籍でもいい勝負をするかもしれないですが、もう今の時点でブックオフで文庫が100円で売られているような作品だと、電子化した場合100円というわけにもいかないでしょうから、出したとしても勝負になるのかな? という疑問もあります。
文芸以外のジャンルだと、はなからビジネス書みたいな新書は一切読まないので、それらは電子化されようとどうなろうと別に興味はないのですが、ただ「これからは電子書籍の時代!」とか煽り気味の新書を出してるような奴に対しては、「だったらなんで紙で出すんだ? バカか?」と思ってしまいます。
そう自分で思っているのなら、率先して電子書籍一本で行くべきだし、少なくとも小説みたいな文芸作品より、たとえば「バカの壁」とか「国家の品格」みたいな、そういう系統の軽く読める新書系のほうが電子書籍には向いていると思います。
と、さんざん勝手なことを言いながらも、たとえばドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」とか「罪と罰」みたいな超長編が、単なるテキストデータで一本300円とかだったら、さっさと前言を全部撤回して多分サクっと買ってしまうと思うので、「要は価格次第か?」という感じは否定できませんが。
それでも、紙の本より確実に電子書籍の方にアドバンテージがあることもあると思います。
それは、既に絶版になってしまっている本の復刊です。
これはむしろ電子書籍でこそ、という感じだと思います。
一度電子化してしまえば紙の本のように「刷る」とか「送る」とか「並べる」とかそういう手間が一切かからないので、死蔵させておくよりは、100円とか200円とかでもずっと出しておけば、売り手も買い手も書き手もハッピーになれる気がします。
ハードカバーではなく文庫等でも、版元や書店の棚の都合でさっさと絶版になってしまっていて、いくら欲しいと思っても、古本ですら入手困難な作品なんか結構あると思うのですが、むしろそういう古い本こそ電子で出してほしいです。
あの手この手で知恵を絞って加工された新刊より、シンプルな文字データだけで十分なので、古い作品をサクっと電子化してもらった方が、個人的には魅力的です。
実際、電子化への流れは止まらないと思いますし、進化していく一方だと思います。
ですが、現在の時点では、個人的に電子書籍で食指が動くのは、文芸書ではなく、やはり雑誌やガイドブックです。
とくにガイドブックは「向こう三年間、改訂された部分の無料アップデート付き」とかだったら、間違いなく欲しいと思います。
単純な話、自分は恐ろしいほど根気の無い人間なので、ディスプレイで長編小説は読めません。
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